知的財産法工学研究会

<研究会内容>  

平成22年7月26日(月)16:00-18:00

第39回研究会開催。

2010年9月7日(火)に日本機械学会年次大会のワークショップとして開催される「知的財産権~発明の貢献に応じた適切な保護~」に関して、報告内容を持ち寄り、検討した。特許侵害紛争における根源的な争点は、特許権者は過度の保護を求めているのではないか、ということである。これに対し、合理的な保護に至る論理的道具立てとして、進歩性欠如による無効論、記載不備による無効論、ならびに特許請求の範囲の解釈論(均等論の適用も含む)がある。これらをテーマとして、ワークショップにおいて議論する。

 

平成22年5月27日(木)16:00-18:00

第38回研究会開催。

前回のバイオ関連の議論に対応するものとして、HCVのエピトープに関する特許の無効論の事例がとりあげられた。続いて、日本機械学会年次大会ワークショップの内容検討を行った。「知的財産権~発明の貢献に応じた適切な保護~」というテーマで、「総論」、「記載不備の観点から」、「進歩性の観点から」、ならびに「均等論の観点から」の報告を行い、ディスカッションを行うことを決定。

 

平成22年3月25日(木)16:00-18:00

第37回研究会開催。

引き続き、記載不備の基準について、議論が行われた。バイオ関係の事例を基に、「公開の裏付けとなる明細書の記載の程度は、『その物』の全体について実施できる程度に記載されていなければならないのは当然であって、『その物』の一部についてのみ実施できる程度に記載されれば足りると解すべきではない」とした裁判所の判断の妥当性について、ならびに、「『欠失、挿入、または置換』クレームについて実施可能性を判断するよりも、そのようなクレームは不明確であるとした上で、均等論において判断したほうが妥当ではないか」という意見について、検討がなされた。また、派生的な課題として、パイオニア発明をしたものにどの程度の広さの権利を認めるべきかというテーマが浮上してきた。また、開き戸の地震時ロック方法の特許に関する事件、ならびに、植栽用マットおよびその敷設方法についての特許に関する事件についても、検討を行った。

 

平成22年1月20日(水)16:00-18:00

第36回研究会開催。

記載不備による特許無効について、偏光フィルムの製造法に関する特許の事例、化学工学分野における事例(酸素吸収剤事件)、機械工学分野における事例(トロイダル型無段変速機事件)がとりあげられ、検討が行われた。

  

平成21年11月26日(木)16:00-18:00

第35回研究会開催。

 偏光フィルムの特性を数値限定した発明に関して審決取消訴訟で取消が確定した事例が取り上げられ、サポート要件(平成6年改正)の適合性、特に事後的な実験データの提出の妥当性、審査基準の遡及適用の妥当性について、議論が行われた。つづいて、基板の塗装方法の発明に関する審決取消訴訟を題材として、進歩性についての議論が行われた。その後、最近の特許侵害訴訟(知財高裁の中間判決)の紹介がなされた。また、今後の取りまとめ方針についての意見交換がなされた。 

 

平成21年9月25日(金)16:00-18:00

第34回研究会開催。

 3件の事例報告がなされた。最初の報告は「S社の知的財産活動のアレコレ」という表題で医薬品メーカーS社が過去に世界各国でどのような訴訟を経験してきたかについて報告があり、委員の関心を深めた。2件目の報告は「除くクレームに関する判例動向」と題して、過去5年間の事件のうち代表的な6つの判例の説明があった。先願との進歩性判断をともなう拒絶理由については、除くクレームの補正ではほとんど拒絶理由は解消されない点、また除くクレームの補正で、新規事項の追加とみなされる事例についての説明もなされた。3件目は「企業における知財人材の育成」について、これからの企業に求められる知財人材像および、その育成法まで幅広い議論がなされた。

 

平成21年7月30日(木)16:00-18:00

第33回研究会開催。

 2名の報告者から事例報告が行われた。1件目は「発明の進歩性についての検討、国レベルでどのような検討がなされているか?」についての報告があり、特に日本、米国、欧州の3極特許庁の審査基準の比較について議論がなされた。2件目は「コミュニティーパテント制度」についての報告に対して、現行特許制度の問題点である審査の迅速化、質の向上にについて議論がなされたが、本コミュニティーパテント制度を導入することによって本当に審査が迅速化されるのか、質が上がるのか疑問という意見も出された。

 

■平成21年5月28日(木)16:00-18:00

第32回研究会開催

 ロボットシステム営業秘密事件を題材に、不正競争防止法に基づく差止等請求事件についての話題提供がなされた。次に、タイムスタンプによる先使用権の立証についての話題提供がなされた。つづいて、「無鉛はんだ合金」の特許に関する、異議申立に対する決定とその取消訴訟や、無効審判及びその取消訴訟について、話題提供がなされた。

 これらを踏まえてディスカッションが行われ、今後のテーマとして、営業秘密の管理や先使用の立証を含む、「研究開発における情報マネジメント」についての話題に絞るとよいのではないかという意見が提示された。 

 

■平成21年3月26日(木)16:00-18:00

第31回研究会開催

 知的財産権に関する報償制度についての、事例に基づく調査報告がなされた。次に、平成20年の東京地裁の判決動向についての話題提供がなされた。つづいて、バイオ分野の標準化と知的財産マネジメントについて、話題提供がなされた。これらの話題提供に基づき、ディスカッションを行った。

 

■平成21年1月29日(木)16:00-18:00

第30回研究会開催

 大学における利益相反(COI)の管理について、ある大学の実例に基づく話題提供が行われた。次に、進歩性の最適値は存在するのか、というテーマについての思考実験が提案された。これらの話題提供に基づき、ディスカッションを行った。 

 

■平成20年11月27日(木)16:00-18:00

第29回研究会開催

 外国の大学への企業研究者の派遣とそれにまつわる営業秘密管理の問題について、講演とディスカッションが行われた。また、今後のテーマ設定について、前回に続いてブレインストーミングを行った。 

 

■平成20年9月17日(水)16:00-18:00

第28回研究会開催

 年次大会ワークショップの総括と、今後のテーマ設定についての議論を行った。しばらくはフリーテーマで発表を行い、それを踏まえてテーマを絞り込んでゆくという方向性が提案された。 

 

■平成20年7月24日(木)16:00-18:00

第27回研究会開催

平成20年7月に開催される日本機械学会年次大会のワークショップ「技術者からみた進歩性判断はどうあるべきか」について、発表の準備と最終調整を行った。

 

■平成20年5月22日(木)16:00-18:00

第26回研究会開催

 第26回研究会開催。年次大会のワークショップ「技術者から見た進歩性判断はどうあるべきか」における事例報告4件について、さらなる検討を行った。吊戸のガイド装置、キー交換式ピンタンブラー錠、耐水性で発散作用のある履物用靴底、エアバッグ用検出装置、についての審決取消訴訟であり、いずれも特許庁の審決では進歩性がないと判断されたが、裁判所で進歩性が認められた案件である。ワークショップでは、これらの事例を元に、「進歩性とは何か」を考える。 

 

 

■平成20年3月14日(金)16:00~18:00

第25回研究会開催

 これまでに報告された裁判例のうち、年次大会のワークショップ「技術者から見た進歩性判断はどうあるべきか」で事例として報告するもの4件を、再び検討した。それらは、吊戸のガイド装置、キー交換式ピンタンブラー錠、耐水性で発散作用のある履物用靴底、エアバッグ用検出装置、についての審決取消訴訟であった。これらを踏まえ、年次大会ワークショップの進め方について議論した。

■平成20年1月31日(木)16:00~18:00

第24回研究会開催。 まず1名の報告者から事例報告が行われた。車体要素のバルク波のトランスバーサル方向の振れを検出するセンサを用いた車両の乗員保護装置の発明に関して、無効審判での無効審決の取り消しが求められた訴訟であった。引用文献中の超音波センサを用いた車両安全装置用制御装置に基づいて容易に発明できるか否かが争点の一つとなったが、知財高裁は発明の進歩性を認めて審決を取り消した。本件に関しては、技術面の把握のため、判決文をより深く読みこんで再度検討することが提案された。次に1名の報告者から、最近の無効審判における進歩性判断の動向を含めた発表がなされた。続いて1名の報告者から、審決取消訴訟と侵害訴訟の判決動向が数値データを用いて発表され、その中で進歩性要件に関わるものの割合にも言及がなされた。最後に、これらの発表を踏まえつつ、8月の日本機械学会年次大会のワークショップにおける企画案を検討した。


■平成19年11月29日(木)16:00~18:00

第23回研究会開催。

 2名の報告者から事例報告が行われた。タクシーメーターの発明については、無効審判での有効審決に対して知財高裁が審決を取消した(無効とした)事例。引例の表示部がタリフ表示を含むドットマトリックス方式を採用することが示唆されているかについて議論し、知財高裁の判決に異論は出されなかった。もう1つの半導体レーザーの発明については、無効審決が知財高裁で取消された事例で、引例にあげられた構造の似た発光ダイオードと本件レーザーとが技術的に全く異なるものであるかどうかの議論がなされる。


■平成19年10月4日(木)16:00~18:00

第22回研究会開催。

 前回からの「技術者倫理と特許制度」についての報告および技術者からみた進歩性判断について2件の事例報告がなされた。技術者倫理については実施例の捏造、未完成発明、作用効果の不奏功等を見抜けない審査制度、また技術鑑定は如何にあるべきか等について議論がなされる。進歩性判断1件目の事例は吊戸のガイド装置。

無効審決が知財高裁で取消された例である。あまり関連性のないカーテンレールの発明を引例として用い、審決がなされたことが取消の主な理由で、発明自体に進歩性があるかは疑問という意見もあった。2件目の事例は粘着テープロール。この事例も無効審決が取消された例であり、引例に記載された事実認定のあやまりを審判官が見抜けなかった点が取消された理由で、発明自体に進歩性があるか疑問という意見が多数を占める。両事例とも審判官の引例の選び方、使い方のまずさが取り上げられる。

 


■平成19年7月31日(火)16:00~18:00

第21回研究会開催。

 3名の報告者から事例報告が行われた。最初にビジネス特許の最近の動向いついて、第4回研究会で取り上げた搭乗券発行システム、新たにブライダル情報の予約システムおよび特許情報検索システムの3発明の事例が紹介された。ビジネス関連発明の技術的な意義および権利行使の範囲、形態がITシステム部分に止まるのか物の製造まで広がる可能性があるのか議論がなされる。また、耐水性で発散作用のある履物用靴底の発明では、靴底の上部から順に膜、不透過性材料である本件の構成が、周知技術から容易に組み合わせることができたか、あるいは後から論理付けしたものかについて議論がなされる。最後に技術者倫理と特許制度と題して、要点が紹介された。本事例については引き続き次回の研究会で議論する。


■平成19年5月31日(木) 16:00~18:00

第20回研究会開催。
 特許庁で進歩性が否定され、知財高裁が審決を取り消した事例の追加1例と、侵害事件において東京地裁が進歩性を否定した事例1例が紹介された。知財高裁の事例は、特許異議事件における特許取消決定が取り消されたものであるが、発明そのものの進歩性については、否定すべきであるという意見が圧倒的に多く、取消決定の理由とされた公知技術の選び方に問題があったのではないかとの意見が出された。一方、東京地裁の事例は、いわゆる電子蚊取りに関する発明であったが、無効と判断されたことはやむを得ないという意見がほとんどであった。むしろ、このような特許で侵害事件を提起すること自体に無理があり、権利者側の姿勢を疑問視する見解もあった。


■平成19年3月29日(木) 16:00~18:00

第19回研究会開催。
 特許庁で進歩性が否定され、知財高裁が審決を取り消した事例の追加として、窓などのルーバーの事例が紹介された。特許庁の審決の論理が甘いのではないかという意見とともに、知財高裁の判決理由にも割り切れない感じが残るなどの意見も出され、結論としては、進歩性を否定すべき事案だったのではないかとする意見の方が多かった。また、知財事件における疑問のある鑑定事例として、某大学名誉教授の鑑定書が紹介された。内容はプラスチックが「熱的ストレス」によって割れるかという問題を扱ったもので、プラスチックの専門家が技術常識に反する見解を堂々と見解書に記載していたものである。その見解書は、特許庁において証拠として提出され、これに沿う審決が出されたが、知財高裁では、相手方当事者の反論によってその信用性が覆されたことが説明された。なお、この事例は、熊本大学の年次大会のワークショップで発表されたものである。


■平成19年1月26日(金) 16:00~18:00

第18回研究会開催。
 特許庁で進歩性が否定され、知財高裁で進歩性が肯定された事例を素材として、進歩性が認められた理由を検討する趣旨で、紙類の検出装置、シリンダー錠の鍵変換方法に関する発明が紹介された。進歩性が認められて当然という意見よりも、進歩性を否定した論理に問題があり、結果として、知財高裁が特許庁の審決を取り消したにすぎないのではないか、との疑問を呈する意見が続出した。


■平成18年11月27日(月) 16:00~18:00

第17回研究会開催。
 新メンバーによる事例紹介が行われた。1件は、磁心材料用の合金に関するもの、もう1件は、ポリペプチドの製造方法に関するものであった。拒絶査定となった事例から、進歩性を認められてもよかったのではないかと思われる事例を紹介するという趣旨であったが、議論の結果、進歩性を認められる部分があるとしても、特許請求の範囲が広すぎ、拒絶査定もやむを得ないのではないかという方向の意見が多くなっていった。


■平成18年9月28日(木)16:00~18:00

第16回研究会開催。
 新規参加者も勧誘して、新たなテーマに取り組む第一歩として、特許庁で無効審決が出され、東京高裁でも無効の結論が支持された事例2例(競争ゲーム、PCカード)が報告され、進歩性とは何だろうか、進歩性判断の二次的証拠の取扱いに関する日米比較などが議論される。これまで、こんなものが特許になっていいのか、という視点から審査の問題点を検討してきたが、今後は、後知恵による拒絶、無効事例を収集する方向で検討を進めることが提案されたが、なかなか適切な事例がないのではないかとの意見も出される。当面、進歩性肯定に疑問のあるものと、進歩性否定に疑問のあるものとを区別せずに事例報告を募ることとする。


■平成18年9月21日(木)16:00~18:00

年次大会においてワークショップ「知的財産法工学の展望」を開催する。


■平成18年7月11日(火)16:00~18:00

第15回研究会開催。
 年次大会(2006、熊本大学)におけるワークショップでのまとめに関する議論を継続する。


■平成18年5月24日(水) 16:00~18:00

第14回研究会開催。
 年次大会(2006、熊本大学)におけるワークショップでのまとめに関する議論を継続する。


■平成18年3月16日(木)16:00~18:00

第13回研究会を裁判における技術的立証に関する法工学研究会と合同で開催。
 ワークショップでの発表のイメージを確認するため、発表予定者からパワーポイントを使用したプレゼンテーションを行ってもらい、意見交換を行う。併せて、部門長から4月の年次総会の時に開催される部門大集合で実施予定の法工学部門のプレゼンテーションが紹介される。研究会終了後、懇親会を開催。


■平成18年1月25日(水)16:00~18:00

第12回研究会開催。
 年次大会(2006、熊本大学)におけるワークショップでまとめを発表することを前提として、まとめに関する議論を継続する。


■平成17年11月21日(月)16:00~18:00

第11回研究会開催。
 第5回研究会で議論した立体駐車場の発明につき、図面から読みとれる発明とは何かが議論される。特許出願後の補正は、特許出願の最初に添付された明細書及び図面の範囲内でのみ許されるが、往々にして、特許出願後に気づいたことが補正の名の下に追加されることがあったり、反対に、当該分野の専門家であれば、図面から読みとれることを追加する場合であっても、文章による説明がなかったことを理由に補正が許されなかったりする。特許庁の審査官が、いわゆる「当業者」のレベルに立つことが難しいのか、それとも、通常、期待される技術常識を欠いているのか、いかなる観点で問題を提起し、研究会としての結論を導くのかが問題となる。以上のほか、導体ペーストに含まれている金属粉末にガラス質をコーティングする技術に関する同一性の判断、紙おむつに用いられる不織布の「カップ破壊エネルギー値」の概念及び測定方法が当業者に自明であるかなどが問題になった特許及び特許出願について、特許庁の審査の問題点が指摘される。


■平成17年9月12日(月)16:00~18:00

第10回研究会開催。
 第2回研究会で報告された軸受鋼の特許について、報告書案が提示され、何に焦点を絞って議論するか、関連技術分野に属さない一般の技術者にも特許庁の審査が不適切であったことを理解させるためにはどのような工夫が必要がなどを討議する。同様に、第5回研究会で紹介されたコンバインの特許についても報告書案が提示され、目に見える機械の発明の場合には、従来技術と特許発明の相違点、一致点を比較表の形で提示することにより問題点を提示できることが確認された。特許庁における審査のあり方に関連して、政府の「知的財産推進計画2005」から特許出願による技術流出を防止するための新たな制度の整備がとりあげられ、真の問題点は特許出願による技術流出にあるのではなく、特許庁における審査に安定性がないために、企業側が防衛的出願をせざるを得ない状況にあるのではないのかとの指摘があった。


■平成17年7月21日(木)16:00~18:00

第9回研究会開催。
 幹事から、これまでに報告された事例を一覧するメモが提出され、そのメモをもとに今後のまとめの方針を討議する。法工学部門の前部門長であり、今年の3月に知財高裁の前身である東京高裁知財部で講演を行った木内先生が出席され、裁判所における専門委員としての経験などを紹介された。


■平成17年5月16日(月)16:00~18:00

第8回研究会開催。
 今後のまとめ方の方針として、ケーススタディの継続と並行してこれまでに報告されたケースを文章化する作業を進めることになる。専門家でなくても分かるように技術の背景等を説明し、その上で特許出願の対象となった発明の内容を紹介し、そのような発明が特許されることによってどのような弊害があるのかを技術者の立場から問題提起する。これに対して、弁護士、弁理士など特許実務家の立場からの解説を加え、最終的には、研究会として問題解決のための提言をする方向でまとめるという方向性を確認する。


■平成17年3月15日(火)16:00~18:00

第7回研究会を裁判における技術的立証に関する法工学研究会と合同で開催。
 技術系裁判官は必要か、というテーマで討論をするにあたり、最初に、ワープロソフト一太郎の特許侵害事件の判決が紹介される。紹介者からは、判決の結論には疑問があるとのコメントがなされる一方、それが裁判官に技術的素養がないことから生じているのではないのではないかとの見解が示される。その後、各委員から技術系裁判官の必要性について意見が述べられる。裁判官にも一定の技術常識が必要なのではないかとの意見が多く出されたが、特許訴訟などの技術が争点になる訴訟においては、技術が分かれば、法律家としての訓練よりも技術的な素養の方が重要である、との意見を支持する見解は示されなかった。また、法律的なセンスやバランス感覚のない技術者が技術専門家として裁判に関与することの危険性も指摘され、裁判官の補佐役として裁判に関与するとしても、技術のみならず、ある程度の法律常識を備えた技術者が必要であるとの意見が大勢を占めた。


■平成17年1月26日(水)16:00~18:00

第6回研究会開催。
 3名の報告者から事例報告が行われる。最初に、画面上に大きい静止画像と小さいリアル画像(動画)を表示する発明に対する特許出願が特許異議を経て拒絶された事例について、なぜ最初から拒絶されなかったかについて疑問が提起される。次に、背面投影スクリーンの発明においてレンズ幅の比を数値をもって規定した場合について、特許庁の拒絶査定が東京高裁で覆った事例が紹介され、この事例を通じて、数値限定による発明を認めるべき場合と認めるべきでない場合について議論がなされる。さらに、レーザーによってアークを誘導する溶接方法につき、従来と異なる方法であっても技術的に意味がないのではないかとの疑問が提起され、技術的に特別な意味がない発明が特許されることが弊害になる場合がいかなる場合であるかを議論する。最後に、「生体高分子-リガンド分子の安定体構造の探索方法」と名付けられた発明につき、東京地裁が特許非侵害との判断を下したのに対して東京高裁がこれを覆した事例及び判決に対する専門家の印象が紹介される。この事例を材料として、特許侵害の判断に必要なことは技術的な知識ではなく論理力とバランス感覚であるとして、技術系裁判官必要論に対する疑問も提起される。


■平成16年11月29日(月)16:00~18:00

第5回研究会開催。
 第3回研究会で取り上げたものとは異なる立体駐車場の発明につき、手続補正、分割出願等に関連して、図面からどの程度まで発明を読みとれるかについて議論する。機械の発明の場合、図面で発明が十分に開示されていると言い得る場合があるとの認識に至る。また、農業機械(コンバイン)の発明につき、自明と思われる発明に対する特許が異議において維持された例が紹介される。特許庁の審査の質についてあらためて疑問が提起される。前回に引き続き搭乗券発行システムの発明につき、発明とは何か、何をもって自然法則の利用というかという基本的な問題を議論する。


■平成16年9月27日(月)16:00~18:00

第4回研究会開催。
 導体ペースト用金属粉末の発明に関して、表面の少なくとも一部にガラス薄膜を有するというだけで進歩性を有すると言えるのか、ガラス薄膜の備えるべき性質を「導体ペーストの焼成中に流動化する」と限定することで進歩性を有するのかなどについて議論する。さらに、最近話題となった搭乗券発行システムの特許を素材として、いわゆるビジネスモデル特許について、技術的な意義があるか否かについても議論する。


■平成16年7月22日(木)16:00~18:00

第3回研究会開催。
 立体駐車場の発明について、特許請求の範囲の補正により、出願当時の実施例と異なる実施態様を含むように保護範囲を拡張することの正当性について議論する。紙おむつなどに用いられる不織布ラミネートの発明について、測定方法の不明な物性値を特許請求の範囲に記載することの問題点を中心に、特許庁の審査のあり方も含めて議論する。


■平成16年5月28日(金)16:00~18:00

第2回研究会開催。
 軸受用鋼及び転がり軸受の発明に関する特許が取り消された事例を中心として、数値限定発明の進歩性、特許庁の審査能力、東京高裁による特許庁審決の再審査能力等について議論を深める。


■平成16年4月26日(月)16:00~18:00

裁判における技術的立証に関する法工学研究会と合同で第1回研究会開催。
 法工学のイメージ、第1年度の活動目標(事例報告を中心に問題点の抽出)について討論。奇数月の最終週に研究会開催を決定。